ペットボランティア特集 ペットボランティア特集
間近にイルカの迫力!
間近にイルカの迫力!
奇跡の楽園・御蔵島で、ドルフィン・スイムとともに自然環境問題を学ぶ
NPO法人・みらいじま
ストレス社会での生活からのリフレッシュを求めて、人は海を目指す。そんな非日常体験の極みともいえる野生イルカと泳ぐドルフィン・スイム。その楽しさを都会人に味わってもらいながら、同時に環境問題について考えてほしいと、啓蒙を続けるNPO法人「みらいじま」のユニークなプログラムについて、代表の根岸弥之さんにインタビューしました。

楽しみながら自然を考える、がコンセプト
「うわー! 近~い!!」「いっぱいいる!」「すごーい! 本物だ!」

青い海に浮かぶ船の上から、もう興奮は抑えられない。本当に、野生のイルカが間近に群れをなして現れる。シュノーケルを着けるのも、もどかしい。イルカと一緒に泳ぐ、ドルフィン・スイムの醍醐味(だいごみ)は、ここを訪れる都会人をひとときの夢体験へと誘う。

東京湾に面する竹芝桟橋から船で7時間、そこに野生イルカのいる楽園がある。「東京都の屋久島」御蔵島では、自然の醍醐味を満喫しながら環境への配慮を体験型で学ぶプログラムが、毎年夏の2か月半、都会暮らしの子どもや若者たちに大きな驚きと感動をもたらしている。

このプログラムを主催しているのが、NPO法人「みらいじま」(本部:東京都新宿区)である。代表の根岸弥之さんは、日に焼けたひきしまった笑顔が似合うリアル・ネーチャーマン。

今年のプログラムも、のべ170人に感動体験を提供して無事終了。来季に向けて新たなスタートを切った根岸代表に、その環境問題に向けた熱い思いを聞いた。

「僕は環境コンサルタントとして、原発やゴミ問題、自然環境を破壊する人的負荷の現場を数多く見てきました。人間が壊してきてしまった自然環境を思うと絶望しかない、という人もいる。でも、僕は絶望からは何も始まらない、と思うし、自然の素晴らしさを体験しながら知り、そこから始められる環境問題への取り組みを一人でも多くの若い力に意識してもらうきっかけを作りたいと思ったんです」

極真空手で鍛えた心身の強さ、細いが強靭(きょうじん)な、という言葉が似合う根岸さんが10代後半で訪れ、あこがれの空手家・緑健児と過ごした奄美の自然を彷彿(ほうふつ)とさせる御蔵島に出会ったとき、彼の思いは決まったという。
東京湾から7時間、奇跡の楽園・御蔵島
東京湾から7時間、奇跡の楽園・御蔵島

御蔵島の生態系を子どもたちにレクチャー
御蔵島の生態系を子どもたちにレクチャー








ドルフィン・スイムボランティア
奇跡の楽園・御蔵島で、ドルフィン・スイムとともに自然環境問題を学ぶ
NPO法人・みらいじま
自然をあるがまま、が大事なスピリット
御蔵島は、黒潮がぶつかる断崖の上に広がる原生林から豊かな森の恵みが海に注ぎ込み、透明度の高い海底深くで堆積し、その海に豊かな生態系をもたらした。台風のシーズンには破格の大波が襲う海を畏れた島民は海にその糧を求めることをせず、イルカをはじめとする海洋生物とのおだやかな共存が保たれてきた。森には天然記念物の渡り鳥・オオミズナギドリも住みつき、樹齢数百年と推測されるシイや、ツゲが生い茂る。

「みらいじま」の体験プログラムは、2泊3日コースと3泊4日コースのいずれも毎日のドルフィン・スイムとともに、島内の自然環境、人的負荷の観察を行う。かつてはなかったペットボトルを焼却するためのゴミ処理施設を見学し、その異臭を体験した参加者が「ペットボトルは家に持ち帰る」と言い出したこともあったと言う。

プログラムは島に住むさまざまな方たちの協力なくしては実行できない。長く御蔵島で保たれてきた自然との共生スタイルを尊重して、プログラムにもさまざまなルールがある。

たとえばイルカにさわらない、というのも、そのひとつ。島に住む最大のほ乳類であるイルカにとって、最大の天敵は人間である。しかし、御蔵島の人々はイルカのいる海を慈しみ、必要以上の接近を封じてきた。だからイルカはドルフィン・スイムをする人間のすぐ近くにやってきてくれるのだ。

さて、「今、NPO法人みらいじまが抱える一番大きな課題は?」と聞いてみた。

「僕たちは、安全に参加者たちに自然体験を楽しんでもらうため、プログラムをサポートするスタッフの十分な編成が必要です。しかし皆仕事を抱えていて、そのローテーションには一番頭を悩ませています。来季は、さらに自然環境に関する知識やプログラム運営のスキルを確かなものにするため、冬季から定期的なレクチャーを実施(会場は東京・新宿区民センター)していく予定です。募集は12月、レクチャー開始は来年1月を予定しています」

シーズン中はキャンセル待ちの状態が続いている人気プログラム。思い切ってボランティアに挑戦してみてはいかがだろうか。
天然記念物・オオミズナギドリも自然循環の重要な担い手
天然記念物・オオミズナギドリも自然循環の重要な担い手

御蔵島固有種といわれるミナミバンドウイルカ
御蔵島固有種といわれるミナミバンドウイルカ

こんなに近くにイルカが寄ってきます
こんなに近くにイルカが寄ってきます



 

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